オールドレンズ

カメラとレンズを買って1年以上が経った。どんどん手に馴染み、最初はなにもかもが新鮮に見えた景色も自分の中での日常となった。犬と散歩に行って近所の景色をパシャッと取るのが日課になっている。

しかし、マンネリとまでは行かないが、今持っているレンズの写りに若干の物足りなさを感じるようになった。使っているのはXC15-45mmと、望遠レンズのXC50-250mm。色は綺麗だし、機能に何の不満もないのだけど、どこか写りが優等生っぽいというか、良くも悪くも癖がない。以前使っていたRICOH GXRのレンズは、汎用性はあまり高くはないがドラマチックな写りをしていた。それが好きで5年使い続けていたところがある。癖のない写りは、Webサイトに掲載する写真なんかでだと非常に重宝するのだけれど(仕事用に買ったようなものだし)、もうちょっとコッテリというか、癖のあるレンズを買ってもいいかもな、とぼんやり思っていた。レンズを買うまでは、どれも正直一緒に見えていたのだけれど。

そんな時に出会ってしまったのが、Carl Zeiss Planar 50mmというレンズだ。昨日の夜、FUJIFILM オールドレンズみたいな感じでざっくり調べていたら、見つけてしまったのだ。作例の一枚の写真を見た時、ビビビビッと刺さるものがあった。これだ。自分はこういう直感をわりと重視している。それから中途覚醒のたびにインスタで作例を見漁ってしまった。

極めつけは、自分が好きな写真家の岩倉しおりさんがZeissのレンズを使っていたこと。岩倉さんの写真は、今まで見た写真では感じたことのない、なにか強烈な感情を思い起こさせるものがあると思っていた。自分がその場にいるような、懐かしい空気感を感じて好きになったのだけれど、「もしかして岩倉さんはZeissのレンズを使っているのでは?」と思って調べてみるとビンゴだった。もちろん、レンズだけでそうなるわけではない、あくまで写真を組み立てる要素の一部だということは分かっている。

色々な写真やブログ、動画を見漁ったが、どれもこぼれ落ちそうな光が印象的だった。これは今使っているレンズでは絶対に表現できないもので、どんどん欲しくなってしまった。そして今、自分はAmazonで状態の良い中古品とXマウント用のアダプターをカートに入れて、レジに進む手前で止まっている。誰か助けてくれ。レンズ沼にだけは落ちたくなかったのに…。イーヤーヤダヤダ(ちいかわ)。