
もともと春になるとなぜか宇宙に行きたいとかエジプトに行きたいとか、とにかくどこかに行きたい願望が強くなるのだが、数日前にアルテミス2の打ち上げのニュースを見てから、頭の中は宇宙でいっぱい、月でいっぱいになってしまった。
星が比較的よく見える環境で育ったこともあり、物心ついたころには星空を眺めては妄想にふける子どもになっていた。夜中に星空をずっと眺めていると、自分もその一部になったかのような感覚に陥り、銀河に吸い込まれていきそうな不思議な気持ちになっていた。
そんな漠然とした「星や月を見るのが好き」という趣味がさらにレベルアップしたのは小学5年生のころだった。この年のゴールデンウィークにたまたま地元の天文台に行って望遠鏡で月や惑星を覗いたところ、その魅力に取り憑かれてしまい、アストロアーツが出版している星空年鑑というムックを父に買ってもらうようになった。その年は火星が地球に大接近した年であったのだが、「この夏、1924年以来に火星が地球に最接近する」という一大ニュースに心が躍り、夏中火星のことばかり考えていた。天文台で作った手作り望遠鏡で火星を見ようとしていた記憶がある。
地球と火星(公転周期は687日)の接近は、約2年2ヶ月ごと、大接近でも15~17年ごとに起こるが、互いの軌道の遠日点・近日点との位置関係などで、必ずしも、毎回同じ距離にまで近付くことは、まずありえない。
ところが、2003年8月27日の大接近では、火星は地球と約5575万0006kmの距離にまで最接近した。これより近い大接近は、現在をさかのぼること約6万年前、あるいは、未来に時代を下ること266年(2021年現在)経つまで訪れない。
この年の興奮を覚えているのか、それ以来春の季節になると突然宇宙に行きたくなる病を抱えている。今年もそれが発動しそうではあったのだが、アルテミス2の打ち上げにより、よりパワーアップしているというか、知的好奇心がフル稼働してしまい、ずっとアルテミス計画について調べたり、動画を見たり、電子書籍を読んだりしている。
技術の進化により、NASAの公式チャンネルでアルテミス2の現在の状況をライブ中継していたり、Xで写真が都度アップされたり、有志の人がミッションの進捗を確認できるサイトを公開していたりするので、リアルタイムでこの計画の進行を味わえるのが楽しい。
自分がこうやって文章を書いている間にも、4人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船が月に向かっているのかと思うと、たまらなく不思議な気持ちになる。簡単には帰ってこれない場所に行く、その勇気と体力、そして人間の好奇心がすごい。予定通りに進むと月には4月7日ごろに最接近するようで、なんだかソワソワしてしまい、月を望遠レンズで撮りたくなったりしてしまっている。手持ちのレンズだと月の姿がそこそこ大きく映る程度なので、400mm以上のレンズが欲しいなあ、とか考えてしまう。昔は望遠鏡が欲しかったが、今は望遠レンズが欲しい。望遠鏡の代わりにもなる上に写真も撮れてしまうのである。
ミッションが無事に完遂されるまで、当分空を眺めてはソワソワしたり、ウキウキしたりしてしまうと思う。2032年までには再び月面着陸も計画されているようなので、それまでは絶対生きたいし、生きようと思う。